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CR・看護研究会実装版

Critical Realism for Nursing Study Group: Implementation Version

ABOUT

CR・看護研究会実装版は、看護研究をはじめ多分野の研究に批判的実在論(Critical RealismCR)を援用し、実践に役立つ研究結果を生み出すことを目指す研究者、院生、学生が共に学び、互いに研究を支援する研究会です。批判的実在論は、1970年代に、イギリスの哲学者ロイ・バスカー(Roy Bhaskar 1944−2014)が提唱した、新しい科学哲学であり、研究の方法論でもあります。
CR・看護研究会実装版は、聖路加国際大学大学院で故木下康仁特命教授が始めた「批判的実在論と看護研究についての研究会」(通称CR・看護研究会)に参加していたメンバーが中心となり、木下の遺志を引き継ぐ形で202410月に始動しました。

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批判的実在論とは

そもそも、批判的実在論とは

そもそも、批判的実在論(CR: Critical Realism)とはなにか。 簡単に言えば、新しい世界の見方を示してくれるメタ理論(研究方法、研究理論を支える理論)です。ここでは哲学的な議論より、研究実践とどのように関係するのかに重点を置いて説明します。

看護研究の難しさ

いうまでもなく、看護は医療の中で行われるので、研究には実証的な知見を求められます。しかし、他者をケアするということは、数値だけでは表せない実践という面があるのは、現場を経験した誰もが感じていることです。

研究方法と世界の見方

私たちは簡単に「科学的」とか「実証研究」などの言葉を遣いますが、それは本当は何を意味するのでしょうか。あるいは、このジャーナルは、量的研究は受け入れてくれるが質的研究はなかなか通らない、などと言う時、それは研究方法の違いだけを意味するのでしょうか?

CRとM-GTA

M-GTAは、質的研究法として、日本で、そして海外でも、特に医療、看護、介護、福祉、心理などのヒューマンサービスの分野で、広く受け入れられています。 しかし、30年の間強く志向していた「らせん的三重サイクル」が、実際にはうまく実現されていないことに、(M-GTA創始者である)木下は悩み、M-GTAだけで研究し続けることへの限界を感じていました。
そして、このままでは、M-GTAばかりでなく質的研究全体の失速していくという危機感を持っていたのです。 そんな時、2015年末にCRと出会い、CRとM-GTAを融合させた、CR版M-GTAを構想します。2024年3月に急逝するまで、精力的にCRを学んで、理論構築をし続けていました。
いままでのスタンダード版M-GTAで得られた結果を超えた、構造やメカニズムへのより深い理解を得るために、CRは非常に有効であると考えたのです。